本章では Plamo Linux のインストールの方法について説明します。 Plamo Linux をインストールするには、まずインストーラを起動しなければなり ません。インストーラを起動するには、大きくわけて FD ブートする方法と DOS からブートする方法、CD-ROM からブートする方法の 3 つがあります。これらの 方法を順に説明します。
Plamo Linux では、大きく分けてデスクトップ用の起動ディスクとノートPC用 の起動ディスクを用意しています。
Install/DESKTOP/bootdsk
が標準的なデスクトップ用起動ディスクで、
Install/PCMCIA/bootdsk
が標準的なノートPC用起動ディスクです。
たいていの環境では、このどちらかの起動ディスクで対応できると思いますが、
いくつか対応できない機種用にカスタマイズした起動ディスクを用意しています。
上記DESKTOP/bootdsk
で
は対応できなかったデバイスドライバを組みこんだ起動ディスクです。
bootdsk2
には IN2000 や Tekram DC390(T) といった SCSI カード
用のデバイスドライバを組みこんでいます。bootdsk[34]
は
SoundBlaster や Mitsumi の独自規格 CD-ROM 用デバイスを組みこんだ起動ディ
スクです。ただし、作者の手元にはこれらの環境が無いため、テストはしてい
ません。
bootdsk2
はAPM機能を外したカーネルを使った起動ディスク、
bootdsk3
はPCMCIAのIRQを使わないように設定した起動ディスクです。
デフォルトの起動ディスクのカーネルにはAPM機能を組みこんでいますが、い
くつかのマシンでは APM BIOS に問題があり、APM 機能を持ったカーネルでは
起動できない症状が報告されています。そのような機種ではAPM機能を抜いた
カーネルを使っている bootdsk2
を試してみてください。該当する可
能性のある機種は Fujitsu FMV-4*NU 系のノートPCです。
また、Sharp Mebius の中には PCMCIA 用の IRQ が正しく認識できない機種が
あります。そのような場合、IRQ を使わず polling モードでカードの抜き挿
しを検知するように設定したbootdsk3
を試してみてください。
Trident Cyber など、一部のビ デオチップでは、インストーラで使っている minikon(KON のサブセット)では 正しく日本語が表示できないという症状が発生しています。インストーラで日 本語が表示されない場合、この
を試してみてくだ さい。該当する可能性のある機種は、Sharp の Mebius や IBM TP です。
フルセットの KON でも日本語が表示で きない機種もあります(MediaGX を使っているマシン)。そのようなマシンのた めに英語化したインストーラを組みこんだ起動ディスクです。ただし、パッケー ジの説明は日本語になっているので文字化けしますし、インストーラ自体急ご しらえでテストが十分ではないために注意してください。
Install/{DESKTOP,PCMCIA}/bootdsk
はブート可能な FD をファイル
に落した ブートディスクイメージです。これらを Windows/DOS ならば
RAWRITE.EXE
コマンド、UNIX(Linux)ならば cat
や
dd
コマンドを使ってフォーマット済の 1.44M の FD に書きだせば、
起動可能なブートディスクになります。
は国内でよく見られる SCSI デバイスや ネットワークカード用のドライバを組みこんだデスクトップ機用のブートディス クです。たいていのデスクトップ機ではこのブートディスクを使えばいいでしょ う。このブートディスクには以下のようなドライバが含まれています。
Install/DESKTOP/
にある bootdsk 以外の bootdskXXX というファ
イルはbootdsk
には入らなかったデバイスドライバを組みこんだ起動
ディスクです。Linux ではサポートされているものの、bootdsk
で
は認識できないカードがある場合、これらのブートディスクを使ってみれば認識
できる場合があります。
は PC カードを使うノート PC 用のブート ディスクです。
以前の bootdsk は bzImage を使っていたため、一部のノート PC ではカーネル を lilo から起動できないという症状が起きていました(FMV-Biblo や Tecra 700 など)。そのため、bootdsk をノート PC 用に独立して通常の大きさのカー ネル(zImage)を使っています。このカーネルには SCSI カードやネットワークカー ド用のドライバは入っていません。
は、ビデオチップに Trident 社の Cyber96xx を使っているノート PC 用のブートディスクイメージとルートディス クイメージです。Cyber96xx のビデオチップは上記 bootdsk で使っているサブ セット版の KON では日本語が正しく表示されないという問題があるためフルセッ トの KON を入れています。そのため、ディスク構成が bootdsk と rootdsk と いう 2 枚組になっています。
また、このブート|ルートディスクを使うと、日本語インストーラの罫線(メッ セージの回りに出る枠線)が半角カナ文字に化けてしまうようです。このカー ネルには SCSI カードやネットワークカード用のドライバは入っていません。
krawrite.exe
コマンドは Windows 上で起動すると自動的に DOS 窓を
開いて、書き出す先の FD とファイルイメージを尋ねてきます。
UNIX(Linux)上で書き出す場合、root になって、CD-ROM の
plamo/Install/{DESKTOP,PCMCIA,CYBER}
ディレクトリに移動し、
# cat bootdsk > /dev/fd0
を実行するか、
# dd if=bootdsk of=/dev/fd0 bs=100k
と実行してください。
こうして作成した起動用ディスクは lilo を使って直接インストール用の Linux を起動することができます。
Libretto のように FDD が Linux から使えないようなマシンでは、HDD 上に置
いたカーネルと initrd イメージから loadlin.exe
を使ってインストー
ラを起動することができます。このためには、
Install/{DESKTOP,PCMCIA,CYBER}
の各ディレクトリにある
vmlinuz
(カーネルイメージ)、initrd.gz
(ramdisk 上に展開
されるルートファイルシステム)、loadlin.exe
の 3 つのファイルが
必要です。これらのファイルをDOS(Windows)からアクセス可能な HDD 領域にいっ
たんコピーしておきます。
vmlinuz
と initrd.gz
は前節で説明した起動ディスク
bootdsk
で使っているカーネルと起動用 ramdisk です。
loadlin.exe は Windows の DOS ボックスからは起動できません。必ず純粋 の DOS の画面から起動してください。このためには、Windows の終了メニュー で、「DOS で再起動」を選ぶか、Windows の起動時に F8 を押してブートメ ニューを出し、6 の「コマンドプロンプトオンリー」を選んで、コマンドプロン プトモードに入ってください。
また、DOS から linux を起動する場合、日本語環境では画面が出ませんので、
忘れず us
や chev us
して英語環境に切りかえておいてください。
準備ができれば c:\linux
ディレクトリに移動して、
loadlin.exe
を使って Linux を起動します。
c:\> cd linux c:\linux\> loadlin.exe vmlinuz initrd=initrd.gz root=/dev/ram
これで HDD からインストーラが起動するはずです。
注意:上記の作業は vmlinuz
や loadlin.exe
を HDD にコ
ピーしなくても CD-ROM から実行することも不可能ではありませんが、最近の大
部分の Windows95 マシンでは、Windows95 上からは CD-ROM が見えても、DOS
からは CD-ROM ドライブが見えない場合が多々あります。そのため、いったん
Win95 環境で必要なファイルを HDD の DOS 領域にコピーする必要があります。
もちろん、起動したインストーラは CD-ROM を認識できます。
CD-ROM が DOS 環境から使える場合は、CD-ROM のinstall
ディレクト
リに移って、上記のコマンドを実行すればインストーラが起動します。この場合、
HDD にloadlin.exe
や vmlinuz
をコピーする必要はありませ
ん。
HDD からブートした場合、起動ディスクが存在しないため起動ディスクから
カーネルをインストールすることができません。a1 ディレクトリにあるあらか
じめ用意してあるカーネル(ide.tgz, scsi.tgz, notekern.tgz
)を忘れずイ
ンストールして、「システム設定」中の「カーネルの設定」については、
"SKIP"を選び、上記インストール中に組みこまれたカーネルを使う
ようにします。
最近のnotePCでは、bzImage(512Kを越えるサイズのカーネル)を使うと正しく 起動できないという症状が報告されています。a1/notekern.tgz は zImage に なっていますので、notePC にインストールする場合はこのカーネルを使うよ うにしてください。note PC 用のお勧めメニューでインストールする場合、こ のカーネルが自動的にインストールされます。
私が配布している Plamo Linux の CD-ROM はブート可能な(bootable) CD-ROM と して作成しています。ただし、CD-ROM からブートできるかどうかは、お使いの マシンのハードウェアや BIOS に依存するため、必ずしも全てのマシンで CD-ROM から起動できるわけではありません。
CD-ROM から起動できるマシンの場合、BIOS メニューの起動メディアの検索順を 変更して、CD-ROM を最初に見にゆくようにしておきます。変更が終ればリセッ トして再起動しますが、機種によっては一度電源を落さないと CD-ROM を起動メ ディアとして認識ない場合もあるようです。
上記の準備を整えてから、ドライブに CD-ROM を入れて起動すると、CD-ROM か ら LILO が読みこまれ、LILO が CD-ROM 上にある起動ディスクイメージを読み こみブートディスクが実行されます。
CD-ROM から起動する場合も、起動ディスクが存在しないため起動ディスクか
らカーネルをインストールすることができません。a1 ディレクトリにあるあ
らかじめ用意してあるカーネル(ide.tgz
、scsi.tgz
、
notekern.tgz
)を忘れずインストールして、「システム設定」中の
「カーネルの設定」については、"SKIP"を選び、上記インストー
ル中に組みこまれたカーネルを使うようにします。
なお、bootable CD-ROM 用の起動イメージは
Install/DESKTOP/bootdsk
を使っているため、notePC ではCD-ROM
から起動できないようです。